設立趣意書

EAGL(Engineering Adventure Group Linkage Program)事業推進機構は、平成 3 年度から平成 9 年度までの 7 年間、全国の主要大学と情報関連の主要企業等による産学交流・連携によって、ソフトウェア研究を推進してまいりました。EAGL は我が国でほとんど初めてといえる本格的な産学協調事業で、特に大学の研究者にとっては研究環境を整え、研究内容の高度化のために非常に意義深いものでした。ここ2、3 年は大学の研究者に対する通産省からの補助金枠ができるなど、環境面での変化があり、たとえば EAGL で補助を受けた研究者のうち5グループ以上が NEDO 新エネルギー・産業技術総合開発機構の補助を受けることができました。これはひとえに EAGL で行なってきた基礎成果が認められたということであり、このような副次的な効果も考慮すれば、EAGLの効果は絶大であったと考えられます。しかしながら、EAGL の研究成果の利用に関しての企業への直接的な寄与については、必ずしも充分なものとは言えず、むしろ産学の実質的な人的交流が成果となっていたともいえます。

EAGL は研究助成としての役割を終えましたが、産学交流の場の必要性は、むしろ高まっていると考えられます。また、最近は、コンピュータとネットワーク環境および周辺関連技術と応用が大きく変化しつつあり、ソフトウェア研究も今までの単なる延長線上では考えられず、重要なソフトウェア研究課題を機動的に戦略的に選定しなければならなくなっています。

そこで、EAGL の精神を生かした形での新しい産学共同の事業として、ここに「産学戦略的研究フォーラム」を設立し、国内のみならず広く国際交流も行いながら、情報技術の将来を見通し、戦略的な研究課題を産学を通じて検討・調査する場をつくり、関係諸機関に具体的な研究課題の提言を発信していく枠組みを構築し、ソフトウェア研究を推進しようとするものであります。

このような場を持つ副次的効果として、大学および企業の研究者間の交流の活発化も期待されます。戦略課題に関する議論、調査研究、および戦略課題を中心とした企業と大学の研究者の討論・交流のためのシンポジウムの開催といった活動を行い、企業側の負担の大きい研究助成を取りやめ、ソフトウェア技術の将来を見通して、何を研究開発すべきか、そのためのアプローチはいかにあるべきかという提言を、社会に向けて発信することを目標とし、産・官・学における我が国のソフトウェア研究の推進に寄与するものであります。