SSR-2007 開催のお知らせ
SSR-2007:SSR全体報告会
SSR運営委員長 玉井 哲雄(東京大学)
産学戦略的研究フォーラム(SSR)は、ソフトウェアの分野における注目すべきテーマ について
産学協同で調査研究を行っており、昨年度(平成18年度)は3分野(オフショア開発・サービ
ス
サイエンス・Web2.0)について実施いたしまし た。
つきましては、下記のとおり成果報告会を開催いたしますので、是非ともご出席 ください。
■日時: 平成19年5月31日(木) 13:20〜17:00
■場所: 虎ノ門パストラルホテル 本館8階 「しらかば」
(港区虎ノ門4-1-1 Tel:03-3432-7261)
■交通/地図: http://www.pastoral.or.jp/access/index.php
■プログラム:
13:20〜 委員長挨拶 玉井 哲雄 (東京大学大学院総合文化研究科教授)
13:25〜 辻 洋 (大阪府立大学大学院工学研究科教授)
「ソフトウェアのオフショア開発に関する戦略動向調査」
14:30〜 生天目 章 (防衛大学情報工学科教授)
「サービスサイエンスのためのモデリング・シミュレーション技術に関する調査研究」
15:35〜 コーヒーブレイク
15:50〜 安村 通晃 (慶應義塾大学環境情報学部教授)
「Web2.0:技術的&社会的可能性と課題、および今後の方向性」
■参加料 賛助会員企業研究者:無料
非会員:500円
※賛助企業(東芝・日本電気・日立製作所・富士通・三菱電機)
■参加申込方法
参加ご希望の方は、5月28日(月)までに氏名、所属を明記し、SSR事務局まで
E-mail ( msato @ iisf.or.jp )
でお申込みください。
■講演概要(講演順・敬称略)
◇辻 洋 「ソフトウェアのオフショア開発に関する戦略動向調査」
日本企業がアジア企業にソフトウェア開発を委託するときに考慮すべき戦略について、
ナレッジマネジメントの観点から調査した。昨年度の日米の研究者に加え、中国・
ベトナムの研究者も加え、様々の組織の個人個人が暗黙に所有しているプロジェクト
経験の共有化を試みた。報告内容は次のとおりである。
(1)日本企業向けリスク診断ツールの試作とその評価
前年度分析した委託者側のリスク要因をもとにした診断ツールをWebベースで開発した。
実際のプロジェクトに適用し、単純のスコアリング手法よりも精度よくリスクを事前評価
すること、ソフトウェア種別、発注先の国の違いなどにより、同じ内容のプロジェクトに
対するリスクの差を明示することなど、その有用性と限界を紹介する。昨年度の成果が
リスク知識の表出化を狙ったのに対し今年度の成果はリスク知識の内面化を狙ったと
位置づけることができる。
(2)受託者側の視点にたったリスク分析
日本企業から開発を引き受けた経験のあるインド・中国・ベトナムの企業から、
どのような特徴あるシステムを開発しているか、発注者とどのように分担開発しているか、
成果の品質についてどう評価しているか、会社としての成果とリスクをどう捉えているか、
実際のプロジェクトの結果がどうであったかについて、実績を収集した。
これらのパラメータを単純に頻度分析するのではなく、パラメータ間の相関をみることに
より、プロジェクト成否との因果関係を抽出した。これを昨年度の発注者側の視点との
対比についても考察を加える予定である。
さらに2月にチューリッヒで開催されたSoftware Engineering Approach for Offshore
Outsourcing Development の会議の状況についても紹介する。
◇生天目 章 「サービスサイエンスのためのモデリング・シミュレーション技術に関する調査研究」
情報技術の発達によりサービス産業に対する需要がここ数年で急増している。特に、
情報技術産業においては、ソフトウェア部門からサービス部門へのシフトがみられる。
サービスサイエンスは、このような要望に答える形で生まれ、従来、勘と経験により
なされることが多かったサービスを科学の対象として取り込もうという試みである。
本調査研究は、経営科学、社会科学、認知科学、計算機科学といった関連領域において、
サービスをテクノロジやビジネスモデル、組織といった観点で論理的に探究して いる内外の
研究者との連携し、特にモデリング・シミュレーション技術の体系的な発 展を目的として
進めてきた。この分野で活躍している海外の研究者を招聘した公開の研究会を開催する
ことで、海外連携型の調査研究を進めてきた。その中で、次の項目に関しての連携型の
調査研究の成果について発表する。
(1) サービスサイエンス研究の現状調査
(2) エージェントモデルによるサービスサイエンス研究の現状調査
(3) 海外からの招聘者が行っている研究の概要紹介
(4) 顧客分析や市場調査に関する新しいシミュレーション技術
(5) 今後の発展が期待されるモデリング・シミュレーション技術
◇安村 通晃 「Web2.0:技術的&社会的可能性と課題、および今後の方向性」
World Wide Web (ここでは単にWebと呼ぶ)が誕生して約15年ほど経つ。この間、
コ ンピュータシステムそのものが、従来のOSやアプリケーションと言った枠組みに
留まらず、Webの存在無くしては語れないような状況になりつつ ある。さらに、Web
そのものも従来の単なる情報発信、情報交換の手段から、クライア ントサイドの
処理が重視され、よりオープンな枠組みとしての新しいWebの形態、すなわちWeb2.0
が広がる気配が近年見られる。
Web2.0では、利用者は単なる情報享受者としてだけではなく、情報を評価し、共有し、
さらには表現者として積極的に関わる立場へと変化してきた。 その代表格として、
GoogleとAmazonとがある。Amazonでは、単に書籍の検索だけではなく、同じ興味を
持った購買者に類似の本を推奨する仕組みや、代理としてWeb上に公告を出した人
に対してAffiliate としての利益還元の仕組みを導入したりしている。一方の Googleは、
その時価総額がマイクロソフトのそれに迫る勢いを見えていること等から分かる通り、
たとえば、Google MapやGoogle Earthといった、これまでに無いまったく新しいネット上
のアプリケーションの展開が進展 しつつある。
この調査研究では、Web2.0の研究動向を技術的かつ社会学的に
解明すると同時に、
今後のネットビジネスやソフトウェアの在り方に関して、調査研究を実施してきた。
特に、Mashupの具体例、SNS(Social Network System)に代表されるネット上での人と
人とのつながりの分析、ネットワーク構造の分析、Ajaxに対するセキュリティ上の脆弱性
の課題、および、Web3.0の可能性などについて議論を深めてきたので、その報告を行う。