SSR平成24年度成果報告会
開催のお知らせ
産学戦略的研究フォーラム(SSR)は,ソフトウェアの分野における注目すべきテーマ
について産学協同で調査研究を行っております.
下記のとおり成果報告会を開催いたしますので,是非ともご出席 ください.
■日時: 平成25年5月27日(月) 9:15〜12:00
■場所: NII 国立情報学研究所 12階 1208・1210室
(千代田区一ツ橋2-1-2)
■交通/地図: http://www.nii.ac.jp/access/
■プログラム:
9:15〜 奥乃博委員長(京都大学) 挨拶
9:20〜 小木哲朗(慶應義塾大学)
「節電と経済活性化を両立させるスマートコミュニティにおけるサービスモデル」
10:10〜 松本一教(神奈川工科大学)
「つなぐ・つながる技術に関する調査研究」
11:00〜 ブレイク
11:10〜 中谷多哉子(筑波大学)
「要求分類のためのルールと要求獲得プロセス観測ツールの開発」
■参加料 無料
■参加申込方法
参加ご希望の方は、5月20日(月)までに氏名、所属を明記し、SSR事務局
( msato @ iisf.or.jp ) 宛にE-mailでお申し込みください。
■講演概要(講演順・敬称略)
◇小木哲朗
本研究では,節電と経済活性化を両立させるスマートコミュニティにおけるサービス
モデルについて検討を行うため,現在進行中の実証実験プロジェクトのサーベイを行い,
CVCAによる分析を行った.
特に,継続的なプロジェクトの運用がなされるためには,開発フェーズでの資金,要求,
サービスの流れだけではなく,運用フェーズにおいても資金,要求,サービスの流れが
成立していることが必要である.またスマートコミュニティにおいて経済を縮小させずに
節電を促進させるためには,節電の主体である個人に我慢や強要を強いない方法が
必要である.このような方法として,快適性指標等を用いて個人に節電を気付かせない
方法,節電行動に対して楽しみ等を付加することでモチベーションを向上させる方法が
考えられる.特にモチベーション向上の方法としては,最近のデジタルマーケティング等で
用いられるゲーミフィケーションの考え方等が有効である.
◇松本一教
モバイル環境での高速通信サービスの急速な普及もあり,クラウドコンピューティングは
もはや我々の日常生活に不可欠のものとなっている.高速通信デバイスを組込む機器
の普及も進み,多種多様なデータを収集して活用しようとする,いわゆるビッグデータの
試みが積極的になされている.また,ツィッター,facebook などを含むソーシャルメディア
の普及も著しく,現実社会を大きく動かすほどの影響力を持つようになっている.
これら最近動向の特徴は,人間やデバイス,サービスなど(それらを総称してモノとよぶ)
が大規模につながることにある.モノとモノとをつなぐ技術は,今後も発展を続け社会に
大きな影響を与えていくと予想される.また,ビジネスの場においても,これらの技術を
活用したサービスやアプリケーションが大きく成長すると予想される.このような状況に
もとづき,今後のITビジネスへの応用に重点をおき,近い将来に成長すると期待される
技術の調査研究を行った.
◇中谷多哉子
本調査研究では,要求獲得プロセスを計画し,その過程を観測し,管理できるように
なることを目指した.そのために,要求文を要求種別に自動的に分類するための分類
ルールを開発し,要求獲得プロセスを可視化するためのツールの開発を行った.
要求文には,そこに記述された要求を代表する単語が使われていると考えられる.
そこで,要求の種別を表す特徴的な単語と,機能要求および非機能要求との対応関係
を定義した分類ルールを開発した.要求獲得のために行われた会議の議事録に分類
ルールを適用した結果と,分類ルールを適用しなかった解析結果とを比較した結果,
両者の間に統計的な差異がないという結論を得ることができた.また,本研究で開発
したツールによって,要求獲得プロセスを半自動的に可視化することも可能となった.
本講演では,分類ルールの作成プロセスとその成果を紹介するとともに,分類ルール
を適用する議事録の分析方法を示す.